ブセファランドラとは?種類、入手方法、育て方、増やし方

ボルネオ島に植生するこの植物は、非常に美しいだけではなく、育てやすく、コレクション性も高いことから、初心者から上級者まで楽しめる水草です。
こうしたことから、ブセファランドラの人気は非常に高まっており、もっとも注目されている水草と言っても過言ではないでしょう。
この記事では、ブセファランドラの基本情報に加え、入手方法や育て方などを紹介します。
1 ブセファランドラとは
(1) ブセファランドラの基本情報
基礎データ
ブセファランドラは、サトイモ科ブセファランドラ属の植物です。
大きさは種類によって異なりますがおおむね5cmから15cm。
地中に根を伸ばすのではなく、アヌビアスやミクロソリウムのように木や石に活着して成長していきます。
二酸化炭素や肥料の添加は必須ではありません。
自生地について
ブセファランドラは、ボルネオ島の渓流で、雨が多く川の流れがあるような場所に自生していることいわれています。
雨が多いため、川の水は中性よりで水中の栄養分はあまりありません。
ブセファランドラは、そうした現地の環境でも生きていけるように適応していることから、我々が育成する場合もある程度幅広い環境に適合してくれます。
(2) アクアリウムにおけるブセファランドラ
アクアリウムでは、光量が少なくでも育つ水草、いわゆる「陰性水草」として親しまれています。
水草自体は小さいですが、密生すると存在感があるため、ネイチャーアクアリウムでも多用されています。
また、二酸化炭素も肥料もいらないため、生体をメインとした水槽で、ワンポイントとして使用することもよくあります。

【陰性水草】には、ブセファランドラ、アヌビアス、ミクロソリウム、ボルビティス、クリプトコリネといった種類があります。
2 ブセファランドラの種類
(1)ブセファランドラの特徴・タイプ
ブセファランドラには種類によって、大きさだけではなく、葉の色、形、大きさなど、いろいろな違いがあります。
学術的に整理されている領域ではありませんが、ここでは、ブセファランドラのこうした違いの一例を紹介します。
大きさ
大型種は水中育成が難しいタイプや水中だと矮小化してしまうタイプが多く、ブセファランドラの中では難易度が高め。一方、ブセファランドラ・キシィやブセファランドラ・パールグレイなど、飛びぬけて美しい種類にも大型種が多く、「育てにくいけど美しい」のが大型種の特徴と言えます。
中型種はブセファランドラ・クダガンやクアラクヤンⅡなど。比較的、水中育成に適応しやすいタイプが多く、初めてブセファランドラを育成する場合には一番オススメ。葉の色や形などのバリエーションが多くコレクション性にも長けています。
小型種はブセファランドラ・クアラクヤンⅠやカユラピスなど。小型種共通の特徴があるわけではありませんが、成長がゆっくりなので自分で育てて密生させるのは非常に難しいです。その分、密生させたときのネイチャーアクアリウム感はかなりのものがあります。根気強く人に数年かけて育ててほしい種類です。
葉の形
ブセファランドラ・カユラピスやベリンダエなどの小型で細長いタイプ。グリーンウェイビーやシンタンなどの葉の縁がウェーブするタイプ。西カリマンタンやクアラクヤンⅡなどの細長くて大きい葉を付けるタイプなど。
葉の大きさや細さだけではなく、葉の波打ち方や葉脈の見え方、更には茎の太さや色など、様々なタイプがあります。
葉の色
ブセファランドラ・シンタンや西カリマンタン、グリーンウェイビーなどの明るい緑色のタイプ。クアラクヤンⅡなどの深緑のタイプ。ブセファランドラ・キシィも暗いタイプですが、葉脈がはっきり見えてカッコイイ印象です。また、これらのブセファランドラにはキラキラの「ラメ」が入っています。特にブセファランドラ・クダガンは粒の大きいラメがたくさん入っており、非常に美しいタイプのブセファランドラです。
また、葉の色は飼育環境によっても変化する場合があります。例えばブセファランドラ・クダガンは育成下で青みの強いタイプから、赤黒いタイプまでいろいろなバリエーションがあります。これは、それぞれの個体による違いもありますが、水質や光量の影響でも変化すると言われています。
(2)人気の高いブセファランドラは?
一般的に人気のあるブセファランドラはブセファランドラ・クダガンです。濃緑の葉にラメがたくさん入っており、ブセファランドラの魅力がバランス良く詰まった種類です。
また、手ごろな中型サイズであるところもポイントです。単体で育てても見栄えがしますし、数を増やして群生させたときの見ごたえは圧巻です。
その他、ブセファランドラ・ビブリスやラマンダウ、グリーンウェイビーなど、一般的なアクアリウムショップでに手に入りやすい種類は総じて人気の高い種類となります。
3 ブセファランドラの入手方法
(1) ブセファランドラの主な購入先
ブセファランドラはアクアリウムショップの実店舗やオンラインショップ、メルカリ・ヤフオクなどの個人間取引で購入することができます。
最近は、ブセファランドラの人気が高まっていることから、いろいろな方法で購入できるようになりました。
一方で、希少種であると偽って高値のブセファランドラを販売するなど、危険な取引も見られることから、初心者のうちはアクアリウムショップや、信頼のあるオンラインショップで購入することを強くオススメします。
また、ブセファランドラには多くの種類があり、これが本物なのか見分けがつかない場合も多々あることから、個人間取引などで偽物を入手してしまうことには注意が必要です。
まずはトロピカ社やアクアフルール社のポット入りや組織培養のブセファランドラからスタートされることをオススメします。
(2) 輸出規制に注意
ブセファランドラを取り巻く状況に、「インドネシアからの輸入規制」があります。
インドネシアから輸入されたブセファランドラに、バナナネモグリセンチュウという寄生虫が発見されたことから、日本政府はインドネシア政府に対して輸出時の検疫の徹底を求めておりました。
しかし、それでも検疫での確認が徹底されず、再びバナナネモグリセンチュウが発見されたことから、令和2年11月以降、日本政府がインドネシアからのブセファランドラの輸入を規制することになりました。
そのため、規制前はインドネシアで現地採集されたブセファランドラが多数日本国内に輸入されておりましたが、この規制のために新しい株は日本に入ってきていないはずです。
一般のアクアリウムショップで販売されているブセファランドラは基本的には問題ありません。、個人間取引でブセファランドラを購入する場合にはこうした規制があることを意識しておきましょう。
もし、輸入規制後のインドネシア現地採取株を謳う販売者を発見した場合、不正にブセファランドラを国内に持ち込んでいる可能性がありますので、近づかないようにしましょう。
以下、農林水産省のホームページです。
https://www.maff.go.jp/pps/j/information/syubyo200831.html
4 ブセファランドラの育て方
ブセファランドラは水中でも水上でも育成することができる植物です。
ここでは、水中・水上それぞれの基本的な育成方法を紹介します。
(1) 水中育成
ミクロソリウムやアヌビアスと同じような育成方法となります。
石や流木などの活着素材にビニタイなどを使って括り付け、水中にドボンします。他にも接着剤を使ったり、テグスを使ったりする方法もありますので、使いやすいものを選んでみてください。
水温に関しては22℃~28℃くらいが適応範囲とされており、通常の水草と同様に26℃程度が望ましいです。
光量に関しては、あまり強くない方が望ましいです。水草水槽用の強光量のライトを使用している場合は、有茎草の陰に植生するなど、強すぎる光は避けましょう。
二酸化炭素に関しては、必須ではありません。しかし、私自身の感触としてはないよりもあった方が育ちがいいように感じるので、化学式CO2を添加しています。
肥料の添加に関しては、必須ではありません。普通に熱帯魚が泳ぐ水槽であれば、特段の添加は必要ありません。もし、植物のみのレイアウトや、極めて貧栄養な環境で育てる場合はブセファランドラの様子を見ながら、少しだけ基本的な肥料を添加しても可です。
(2)水中育成時の注意点
ブセファランドラの水中育成時の注意点です。
1つ目はコケ対策です。必要とする光量が少ないので、有茎草と同じように光を当てているとコケが生えてくる場合があります。また、成長が遅いので一旦コケが付くと取り除くことが難しいです。そのため、できるだけコケがつかないように育成しましょう。
ブセファランドラにコケがついてしまう原因は光量が多すぎる場合がほとんどです。そのため、Chihirosなどの光量を調整できるLED照明を利用して、コケのでない環境を作ることが有用です。
2つ目は水質の変化です。ブセファランドラは適応できる水質の範囲は広いのですが、水温や水質を大きく変化させると、一時的に葉を落としてしまうことがあり、そのまま根茎だけの状態になることがあります。水質の急激な変化は避けましょう。
(3) 水上育成
水上育成の場合、高い湿度を保つことのできる容器を使って育てます。例えば、蓋付きの小瓶に軽く湿らせたソイルを敷き、そこにブセファランドラを植生する方法などがあります。
日々の管理としては、ブセファランドラが乾燥しないように定期的に霧吹きで水やりをする程度です。また、ブセファランドラに枯れたり、腐ったりしそうな部分がでてきたときは、すぐにその部分を取り除きます。高湿度でカビの生えやすい環境なので、こまめな観察で育成環境を清潔に保つことが大切です。
水上育成は日常のメンテナンスさえできていれば、簡単にブセファランドラを育てることができます。瓶さえあれば、大きなスペースは必要ありませんので、大量のブセファランドラを育成することも可能です。
5 ブセファランドラの増やし方
(1) ブセファランドラが増える仕組み
ブセファランドラは株分けで増やすことができます。
アヌビアスやミクロソリウムの株分けを行うように、簡単に新しい株に分けることができます。株分けで、新しい株を生み出すことができる点は、ブセファランドラのとても魅力的なポイントです。
このほか、実生といって種子から育てる方法もあります。これは、水上育成で花を咲かせて、受粉させ、種子をとって発芽させる必要があるので、かなり上級者向けです。
そのため、ブセファランドラを増やしたい場合は株分けで増やすことをオススメします。
(2) 株分けの方法
株分けの方法は簡単。親株から根茎を切り離し、新たな株(子株)として植生するだけです。このとき、切れ味の悪いはさみや手で引きちぎるように株分けすると、親株も子株も傷んでしまうので、トリミング用のはさみ等を用いてキレイにカットしてあげましょう。
株分けした子株を植生する際は、親株同様、石や流木に活着させましょう。
個人的には、子株は4~5cmくらいの長さがあれば、十分問題なく育つと思っています。経験上、あまり短くカットしすぎると子株の成長が止まってしまったり、溶けてしまったことがあります。あまり欲張らず、しっかりと育成してから株分けしましょう。
6 まとめ
この記事では、ブセファランドラの基本情報に加えて、基本情報に加え、入手方法や育て方などを紹介させていただきました。
既にブセファランドラを育成されている方も、これから育成される方もいらっしゃると思いますが、そうした皆様の参考になれば幸いです。
最後まで読んでいただいきありがとうございました。